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被爆桜クローン 母校に植樹 3年半前に組織培養した元広島大付属高生 

「復興の象徴」福島にも

 広島市南区の広島大付属高の卒業生が27日、市天然記念物の被爆樹木、ヒロシマエバヤマザクラのクローンの苗木を校内に植樹した。3年半前に同高の生徒が組織培養に成功し、高さ約2メートルに育った11本のうちの2本。被爆をくぐり抜けた復興の象徴として、福島県の高校2校にも1本ずつ贈る。(久保友美恵)

 この日は、在校生など約20人が見守る中、正門近くに苗木を植樹。在校した2011~12年に組織培養に奮闘した山口大2年末広晴美さん(21)と東京農工大2年木村惇志さん(21)たちが、土をかぶせて成長を祈った。

 エバヤマザクラは、推定樹齢180年で高さ14メートルの1本だけが中区の江波山公園に植わる。枯死などに備え、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けた同高の生徒が07年から、「茎頂(けいちょう)」と呼ばれる芽の先端の組織を培養して、同じ遺伝子を持つ苗木を作る研究を重ねた。

 組織培養によるサクラの苗木増殖の実績がある住友林業(東京)の研究員から、培養液の成分改善などの助言も受けて12年10月、完全な苗木を作ることに成功。その後、同社が11本を茨城県の研究施設で育ててきた。

 苗木は28日、中区江波本町の公園に6本が植えられるほか、福島県の会津学鳳高(会津若松市)と磐城高(いわき市)にも1本ずつ贈る。

 末広さんは、自分たちで生み出して立派に成長したクローン苗木を見詰め、「広く平和について伝える存在になってもらいたい」と願っていた。

(2016年2月28日朝刊掲載)

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