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描き伝える被爆の記憶 福山の団体が語り部育成 若い世代の視覚に訴え

 被爆者と被爆2世でつくる「福山市原爆被害者の会」は、自分で描いた絵を使って被爆体験を証言する語り部の育成を進めている。被爆者の高齢化が進む中、学校や地域で記憶を伝える場を増やす。

 会では、広中正樹会長(72)たち3人を中心に語り部をしてきた。絵を使う証言を続けている広中会長が「視覚に訴えることで、若い世代も退屈せず、最後まで聞いてもらえる」と会員に提案した。

 呼び掛けに応じたのは語り部部会の11人。2011年12月から水彩や色鉛筆で描き始めた。それぞれが約30分の証言に約15枚の絵を用意する。プロジェクターで映写しながら、話す練習を重ねる。うち2人は被爆2世で、親の体験を伝承する。

 同市春日町の神原繁夫さん(83)は、やけどを負った自分の姿を米兵が撮った写真を見ながら描いた。「残された人生を継承活動に役立てたい」と話す。

 被爆時の状況を紹介した語り部のプロフィルも作り、希望者に提供する。広中会長は「被爆体験を抱えたまま、話せずにいる会員も少なくない。語り部を発掘し、活動を広げたい」としている。(伊藤敬子)

(2012年2月24日朝刊掲載)

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