社説・コラム

[被爆者からオバマ氏へ] 次の「決断」問いたい 伊藤正雄さん=広島市佐伯区

  ≪4歳の時、広島市庚午町(現西区)で被爆。原爆で兄と姉を失った。65歳から平和記念公園(中区)でガイドボランティアを続ける。被爆者の記憶と平和への願いを次代に伝えるため広島市が制度化した「被爆体験伝承者」としても活動する≫
 オバマ米大統領の広島訪問決定を知った時、「やっと決断されましたね」と思った。2009年のプラハ演説で「核兵器なき世界」を目指すと明言した時から、核兵器廃絶の取り組みをライフワークにするという意気込みを感じていた。

 ただ核軍縮の成果は見えない。オバマ氏はノーベル平和賞を返上するべきだと憤ったこともある。だが、悩み抜いた上で決断したのだろう。熱意は変わっていないと信じている。

 オバマ氏は緑豊かな、きれいな広島の街を目にするだろう。71年前、学徒動員で建物疎開に汗を流していた多くの中学生が命を奪われ、血を流したことを知ってほしい。原爆慰霊碑の碑文「過ちは繰返しませぬから」も読んでほしい。「過ち」がどう英訳されて伝わるか分からないが、碑文の意味を自分なりに考えてもらいたい。

 平和記念公園で子どもたちをガイドする際、園内の「原爆の子の像」が1958年に完成した経緯を紹介している。当時、平和を願う子どもたちが街頭で募金し、全国に協力を呼び掛けた。今、「あなたはどう立ち上がるかな」と問い掛ける。オバマ氏にも期待を持って同じ問いを投げ掛けたい。(久保友美恵)

(2016年5月23日朝刊掲載)
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