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被爆樹木の笛でそれ行けカープ 「温かみのある音色聴いて」 千田小児童 22日演奏

 被爆樹木で作った笛「パンフルート」の演奏に取り組む広島市中区の千田小の児童が、広島東洋カープの応援歌「それ行けカープ」の練習に励んでいる。日本シリーズが始まる10月22日、原爆ドーム対岸の元安川親水テラス(中区)である市主催の野外演奏会で初披露する。(栾暁雨)

 被爆樹木のカイヅカイブキが同小校庭にあったが、枯死が確認された2014年秋に伐採された。高さ約5メートル、直径約70センチあった樹木の活用を庄野英憲校長(58)が模索し、知人に楽器制作を依頼。昨年7月、直径2センチ、長さ10~20センチほどの木管10本をアーチ状につないだパンフルートに生まれ変わった。

 3~6年生の児童54人が週3日、練習に取り組む。カープが25年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた後、応援歌の練習を始めた。演奏会では、同小卒業生でNHK広島放送局のキャスター森光七彩(ななせ)さん(24)が作詩、作曲した「アオギリのうた」とともに演奏する。

 「授業でカープの歴史を学んでもっと好きになった。温かみがあるパンフルートの音色を聴いてほしい」と6年岩佐真緒さん(12)。編曲を担当した島本裕充教諭(58)は「被爆からの復興期に誕生した球団は今も市民の希望。被爆樹木で作った楽器の音色で、被爆地と歩んだカープの歴史に思いをはせてほしい」と願う。

(2016年9月30日朝刊掲載)

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