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社説・コラム

キーパーソンがゆく ブループロジェクト(呉市)・河崎圭一郎さん 

呉菓子大博覧会を開催 海軍ゆかりの食を再現

 「会場には若者の姿も多かった。予想を超える反響だった」。呉市の大和ミュージアム前で4、9月の2回、「アッタラシイ呉菓子大博覧会」を開いた。旧日本海軍ゆかりの菓子や弁当を再現し、販売した。

 博覧会は市民グループ「ブループロジェクト」が企画した。2012年の発足当時から参加している。

 再現したのは、給糧艦「間宮」の中で作られていた「ウヅマキ型スネキパン」や巡洋艦「青葉」のコロッケなど計11点。海軍史の専門家の協力で当時のレシピや元乗組員の証言を集めた。調理は地元の店に依頼した。「呉は明治期、軍港として大きく飛躍した。歴史の中に、貴重な観光資源が眠っているはずだ」

 大和ミュージアムは開館以来、ものづくりの町の歴史と平和の尊さを伝えるとともに、呉市の主な観光施設として人気を集める。

 グループはこのにぎわいをさらに広げるため、ミュージアムで販売する土産物を考案することを主な目的として掲げる。メンバーは会社経営者や芸術家たち計6人。

 活動を続けるうち、歴史への視点が培われた。「呉は艦艇の見学に訪れた観光客の土産物や、旧海軍への納入などで豊かな菓子文化が育った」

 博覧会で再現したようかんは、いまもミュージアムで販売を続け、ヒット商品の一つになった。「新しい名物として定着させたい」。名物や名所を増やし、にぎわいの輪をミュージアムから町全体に広げる。(今井裕希)

かわさき・けいいちろう
 1974年、光市生まれ。北九州市の九州情報通信専門学校卒。環境衛生会社の社員として広島市に赴任したのに伴い、94年から呉市在住。96年呉市の制服販売会社に入社。

(2016年10月22日朝刊掲載)

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