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基地と交流 継続は力 岩国市通津小、昨年11月から定期イベント

 岩国市の通津小が、昨年11月から米海兵隊岩国基地の関係者たちとの交流に力を入れている。地域を巻き込んだ交流会を定期的に企画するほか、基地内の学校に通う児童を通津小の授業にも招待。児童に国際感覚を養ってもらうとともに、地域住民と学校との距離を近づける機会にもなっている。米軍関係のイベントが多い岩国市にあっても、継続的な交流は際立っている。(馬上稔子)

 11月下旬にあった学校同士の交流会。基地内にあるペリースクールの5年生約50人が通津小を訪れた。今回は通津小5年生約40人の2クラスが歓迎した。

 「I like flower.Do you like?(私は花が好きです。あなたは?)」。両校の児童は事前に絵を描いて準備したカードを手に教室内を動き回り、ペアになって質問し合った。

 その後、講堂に移動して市錦帯橋課の職員から教わりながら、錦帯橋の5分の1サイズの木製模型も組み立てた。順番を待つ間、両校の児童は自然とグループになり、手をたたき合うリズム遊びも始まった。

 「初めは外国人に話し掛けるのは恥ずかしかったけど、何回も来てくれて慣れてきた」と河田一花さん(11)。山下春花さん(10)は「外国語の授業で習った英語を使えてうれしい」とも話す。

 交流は、昨年4月に着任した宮井信明校長が、地域住民から「児童が異文化理解を深められる機会をつくってほしい」と聞いたのがきっかけになった。通津小は岩国基地から約10キロ南。「基地に隣接する地区より、外国人や外国語に触れる機会は少ない」とも感じるという。

 宮井校長は基地側に継続的な取り組みを提案。快諾を得て、2カ月に1回の地域との交流会を企画するほか、学校同士でも年2、3回の交流をしている。

 ペリースクールで日本文化のクラスを受け持つ浜桐陽子教諭は「基地内の子どもにも異文化を受け入れる姿勢を養ってもらいたい。同年代の児童と触れ合う機会は貴重」と歓迎する。

 地域にボランティアで通訳を担ってくれる保護者や、伝統文化を指導する住民グループがあったのも、実現を後押ししたという。地域交流会では、子どもたちはけん玉や書道などの日本文化を体験し、保護者はカレーや巻きずしなどの和食を一緒に作る。毎回、日米の約100人が参加するといい、好評だ。

 一方、地域交流会は、教育振興に取り組む山口県教育会から補助を受けているが、教材となる竹とんぼを手作りするなど、手弁当に頼った状態が続く。

 宮井校長は「長期的に続けるには予算面や組織づくりの課題がある。ただ児童も交流に慣れてきて効果は出ており、今後も継続して活動を発展させていきたい」とし、両校間の短期「交換留学」など構想を膨らませている。

(2016年12月19日朝刊掲載)

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