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連載・特集

2016年 広島県内重大ニュース <上> 平和

 2016年の広島県は、オバマ米大統領の被爆地訪問、広島東洋カープの25年ぶりリーグ優勝で国内外の注目を集めた。府中町の中学3年男子生徒が自殺した問題が発覚。北広島町で島根県立大生の遺体が見つかった事件は発生から7年で急展開し、衝撃を与えた。JR広島駅南口の再開発ビル整備が完了の節目を迎えた。広島県内の重大ニュースを振り返る。

平和

オバマ米大統領 広島訪問

 米国による原爆投下から71年のことし、広島は初めて現職米大統領のオバマ氏を迎え入れた。

 3月末時点で被爆者の平均年齢は80・86歳。被爆の実態への理解を深めて廃絶に尽くしてほしい―。そんな被爆地の官民の呼び掛けが実を結ぶ形で、オバマ氏が広島市を訪れた5月27日。中区の平和記念公園の訪問行事に招かれた県被団協の坪井直理事長(91)=西区=は、演説後に歩み寄ったオバマ氏に通訳を介して伝えた。

 「核兵器をゼロにするため、ともに頑張りましょう」。握ったオバマ氏の手が、強さを増したという。

 この日、県警は過去最大の約4600人の警備態勢を敷いた。平和記念公園周辺はひと目見ようと市民たちが詰め掛けた。オバマ氏が市へ贈った折り鶴を展示した原爆資料館の入館者数は訪問以後、前年同期より約2割増えた。

 オバマ氏の訪問に先立つ4月11日には、主要7カ国の外相会合で市を訪れた英米仏の現職外相も初めて平和記念公園に立った。予定外の原爆ドーム訪問を言い出したケリー米国務長官は帰国後に、公園での印象を「心が動かされた」と語った。

 ただ、トップと外交責任者が肌身で広島の思いを感じたはずの米国は、国連で「核兵器禁止条約」の制定交渉開始に猛反発。早期の廃絶を求める被爆地との溝は依然深い。

 原爆ドームは初の耐震補強工事を終え、12月に世界遺産登録20年となった。「物言わぬ証人」は保存の難しさを抱えつつ、国内外へ「核兵器なき世界」の実現を訴え続ける。(岡田浩平)

 1月

○京セラディスプレイの広島工場(三次市)の閉鎖が明らかに

 2月

○県が福山市鞆町の鞆港埋め立て免許申請を取り下げ

 3月

○府中町の中学校で、誤った万引記録に基づく進路指導を受けた3年男子の自殺が発覚

○山陽自動車道の八本松トンネルで渋滞の車列にトラックが突っ込む多重事故が発生。2人が死亡

 4月

○広島市で主要国の外相会合が開催

○海軍鎮守府があった呉など全国4市、尾道市などの村上海賊が日本遺産に

 5月

○ひろしまフラワーフェスティバルが40回を迎え、盛大に開催

○オバマ米大統領が被爆地広島を訪問

 6月

○県東部で大雨被害。福山市で広域浸水

 7月

○18歳選挙権、選挙区合区を初導入した参院選が投開票。広島は自民、民進で議席分け合う

 8月

○リオ五輪で競泳女子200メートル平泳ぎの金藤理絵選手が金メダル。県勢では44年ぶり。陸上の男子400メートルリレー決勝で山縣亮太選手も銀

 9月

○広島東洋カープが25年ぶりリーグ優勝

○JR西日本が三江線の全線廃止を表明

10月

○日米通算200勝を達成したカープの黒田博樹投手が引退を表明

11月

○J1サンフレッチェ広島の佐藤寿人選手が名古屋への移籍を発表

12月

○シャープが三原工場を2017年度に閉鎖し、福山工場に集約する方針を三原市に通達

○北広島町の臥龍山で2009年、島根県立大の女子学生=当時(19)=が遺体で見つかった事件で、島根、広島両県警の合同捜査本部が、殺人と死体損壊・遺棄の疑いで益田市の会社員の男=当時(33)=を容疑者死亡のまま書類送検

○JR広島駅南口の再開発事業で、着手から35年でA、B、Cブロックの全ての再開発ビルが完成

(2016年12月29日朝刊掲載)

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