×

ニュース

艦載機移転「ことし後半」 厚木から岩国へ 米軍が非公式伝達

 米軍がことし着手する方針を固めた在日米軍再編に伴う米海兵隊岩国基地(岩国市)への米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機移転で、米軍が日本政府を通じて具体的な時期を「ことし後半」とする意向を山口県と岩国市へ非公式に伝えたことが4日、分かった。艦載機のうちE2D早期警戒機4機を岩国基地へ飛来させ、2月から訓練をしたいとの考えも伝えた。

 複数の関係者が明らかにした。米軍は近く、これらの方針を公表するとみられる。県と岩国市は移転を容認しておらず、日本政府を通じて詳しい説明を求める考えだ。日本政府も説明に向けた準備に入っており、艦載機受け入れを巡る協議は重大な局面を迎える。

 移転が完了すれば岩国基地は配備機が120機を超えて、軍事的な拠点性がさらに高まる。現在、艦載機の大半を占めるのはFA18スーパーホーネットで、厚木基地周辺では騒音の主因とされる。岩国基地周辺の住民からも騒音が増えることへの不安を訴える声が出ており、「ことし後半」の移転開始を県と市が容認するかどうかが焦点となる。

 米軍は全ての艦載機を同時に移転するのではなく、部隊ごとに段階的に進める意向でいる。所属する隊員や家族は2006年時点で約3800人に上る。移転が終わるまでには「長ければ1年間程度かかる」との見通しを示しており、順調に進んでも完了が18年となる可能性が出てきた。

 E2Dは、日本政府がこれまで説明してきた艦載機59機のうち、E2C早期警戒機4機の後継。これまで岩国基地への飛来はないという。米海軍横須賀基地(神奈川県)に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンに戻るまでの数カ月間、移転を見越した訓練をする見通しだ。(村田拓也、野田華奈子、松本恭治)

(2017年1月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ