×

ニュース

旧日銀支店一部 博物館に 広島市が2・3階活用方針 被爆や移民の歴史紹介

 広島市が、被爆建物の旧日本銀行広島支店(中区袋町)の一部を博物館として活用する方針を固めたことが19日、分かった。被爆前後の市民の暮らしや、海外移民の歴史を紹介する資料を常設展示する。2017年度当初予算案に関連経費を盛り込み、18年度の開館を目指すとみられる。

 旧日銀広島支店は1936年に完成。鉄筋3階地下1階延べ3214平方メートルで古典様式の外観が特徴だ。爆心地から380メートルに位置し、内部にはガラス傷など被爆の痕跡が残る。市は2000年7月の市重要文化財指定後に日銀から無償貸与を受けた。01年から暫定的な利用策として、文化・芸術活動のための展示スペースとして一般向けに貸し出している。関係者によると、市は建物の2、3階を常設展示用に改装。古い農機具や、米ハワイ、ブラジルなど移民先の写真を並べる。主に、1980年代に描いた博物館建設構想に基づき、市民から寄贈を受けた資料。財政難で構想が凍結され、市庁舎などで保管されてきた。これまで公民館などで年数回、期間限定で展示しているが、常設が実現すれば初めてとなる。

 これとは別に市は、建物内部を被爆の痕跡を残した上で建設当時の姿に復元する計画を進めている。価値を高め、国の重要文化財の指定を目指す構えでいる。(和多正憲)

(2017年1月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ