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連載・特集

[つなぐ] 国際舞踊グループ「PEACE」代表 ラッキーコフィ・アベメヒアンさん=ガーナ出身 

芸能通し「世界は一つ」

 華やかな色がまぶしい。日本、韓国、インド、そしてガーナ。それぞれの国の衣装を身にまとい、次々に伝統的な舞踊を披露していく。約150人を前に、国際舞踊グループ「PEACE(ピース)」の初公演を無事に終え、ガーナ出身でリーダーのラッキーコフィ・アベメヒアンさん(40)=広島市南区=は「みんなに感謝したい」と喜ぶ。

 初めて来日したのは、2012年夏。ガーナ国立舞踊団の団員として日本10都市のツアーで広島を訪れた。その際、後に妻となる弓さん(43)と知り合った。帰国後も会員制交流サイト(SNS)で連絡を取るうちに引かれ合い、14年4月に再来日して結婚。広島での生活も3年近くになる。

 ガーナでは、大統領に随行して外遊先で公演するほどの実力の持ち主。大学で伝統芸能について教えていた経験もある。祖父はアフリカンドラム、母はダンスと歌、4人のきょうだいもダンスやドラムの道を歩む音楽一家。自身もダンスとドラムをこなす。広島には大小22個ものアフリカンドラムを携えてやって来た。

 ガーナではアフリカンダンス・ドラムのプロとして活動してきた。しかし「ここではアフリカの音楽やダンスが知られていない」と痛感。なりわいとして成り立たず、伝統芸能を価値あるものと認めてもらえないつらさを抱えていた。

 それでも、めげなかった。「良いものを知ってもらって少しずつでも広げるところから始めよう」。そう思って、15年夏ごろから市内の集会所などでアフリカンダンスやドラムを教えている。

 ガーナの伝統舞踊の魅力は「体の中に染みこむ感じ。プレーする自らが幸せを感じ、自由で強く健康になれる」。そして「聞いている人も幸せにしたい」と願う。頭が痛くても熱があっても、アフリカンドラムをたたくと元気になる。

 「PEACE」結成を思い立ったのは昨年5月のひろしまフラワーフェスティバル。韓国舞踊が披露されている新聞記事を見て、「今も世界のどこかで戦いが繰り広げられている。しかし、芸能を通して世界は一つになれるはず」と考えた。そんな呼び掛けに4人が応じてくれた。いずれもインド舞踊などの指導者たちだ。

 被爆地広島からの発信力は大きい、とみる。平和記念公園(中区)に行くたびに思い出すのが、ガーナの歴史だ。奴隷貿易と植民地支配。「米国の黒人は、もともとはアフリカ出身。狭い中に押し込められ、トイレにも行けない不衛生な状況で連れて行かれた。植民地支配から解放されて自由を手に入れたのは1957年なんだ」と説明。「だからこそ、平和と正義が大切」と力を込める。

 11月に南区で催した初公演の成功をばねに、現在5人のメンバーを増やすとともに、今年は広島以外でも公演をしたい、と意気込んでいる。(二井理江)

(2017年1月30日朝刊掲載)

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