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「ゲン」に託す不戦の訴え 中沢啓治さん講演

 漫画「はだしのゲン」の作者の中沢啓治さん(73)が24日、広島市中区の基町高で「『はだしのゲン』に託す」をテーマに講演した。創造表現コース1~3年97人を前に、被爆体験や漫画家になった経緯、「はだしのゲン」発表のきっかけなどについて話した。

 舟入本町(現中区)に住んでいた中沢さんは1945年8月6日の朝、校門そばの塀の陰にいたため助かった。しかし、父と姉、弟を失い、同日に生まれた妹も4カ月後に亡くなった。

 手塚治虫の漫画「新宝島」にひかれて漫画家を目指し上京。デビュー後、亡くなった母を火葬した際、骨の破片しか残らず「原爆はおふくろの骨まで奪っていくのか」との怒りから原爆漫画を描き始めた。「はだしのゲン」の連載は自伝漫画がきっかけになった。

 「戦争はいきなり起こるわけではない」と指摘。「不戦を誓った憲法を守り、平和な世の中を持続させてほしい」と呼び掛けた。

 創造表現コースでは、平和をテーマにした絵を描いたり、被爆体験を聞き取って絵にしたりしている。3年坂本茜さん(18)は「原爆や戦争への強い怒りを感じた。もう一度『はだしのゲン』を読みたい」と話していた。(二井理江)

(2012年7月25日朝刊掲載)

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