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北東アジア非核化探る 広島で国際シンポ

 国際シンポジウム「北東アジアの非核化へ向けて―広島・長崎から核のない世界をめざす」が28日、広島市中区の広島国際会議場で開かれた。広島市立大と長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)、中国新聞社の主催。北東アジアでの非核化構想実現への課題や、被爆国日本の役割について討議。約180人が聞き入った。(二井理江)

 梅林宏道RECNAセンター長とセルジオ・ドゥアルテ前国連軍縮担当上級代表(ブラジル)が基調講演。梅林氏は日本、韓国、北朝鮮が非核兵器国となり、周辺の米国、ロシア、中国の核保有国が核攻撃をしないとの自ら提案した「3+3(スリープラススリー)」構想や最近の動きを紹介した。ドゥアルテ氏は、中南米・カリブ地域が世界に先駆けて非核兵器地帯条約を結び、他地域のモデルとなった実例を説明した。

 この2人に、韓国統一研究院の全星勲(チョンソンフン)上級研究員、中国政治研究者の飯塚央子氏、中国新聞社の金崎由美論説委員を加え、水本和実市立大広島平和研究所副所長の司会でパネル討論。4月の憲法修正で自ら「核保有国」とした北朝鮮、核兵器保有を盾に威信を保持してきた中国、原子力基本法改正で「安全保障に資することを目的として」を加え、周辺国に警戒されている日本など各国の現状を踏まえて意見を交換した。

 非核化実現の策として、梅林氏は「言い出しっぺが当事国から生まれないといけない。被爆国日本が国際舞台で言うべきだ」。飯塚氏は「非核化を進める中で国家間の信頼を醸成することが大切」と指摘した。また、韓国の原爆被害者を救援する市民の会の豊永恵三郎広島支部長が、在韓被爆者を支援してきた長年の市民運動が信頼醸成につながったと報告した。

(2012年7月29日朝刊掲載)

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