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「黒い雨」被害 54人の体験記 近く発刊へ

 原爆投下直後に雨が降った指定地域の拡大を求める広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会は、会員たちの体験記をまとめた本=写真=を近く発刊する。被害の実態が浮かび、国に指定地域見直しを迫る内容となっている。

 28日に同県安芸太田町であった役員会で最終校正した。「黒い雨『内部被曝(ひばく)の告発』」の題で、54人の体験を顔写真とともに掲載。当時4歳だった佐伯区の女性は黒い雨にぬれ、下痢や発熱を繰り返したと記述。今も貧血がひどく、内部被曝の影響を指摘する。

 他にも、白血病で亡くなった親類やがんなどの病歴、現行の指定地域の線引きへの憤りを記す。A5判、151ページ。5千部刷り、8月3日以降に600円で販売する。高野正明会長(74)は「証言から真実を知ってほしい。風化させないことが救済と平和への一歩になる」と話す。(畑山尚史)

(2012年7月29日朝刊掲載)

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