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愛宕山用地を無償提供 艦載機移転 政府間協定で米側に 岩国

 米海兵隊岩国基地(岩国市)へ空母艦載機が移転する計画に伴い、米軍住宅など関連施設が整備される愛宕山地区(同)の用地約75ヘクタールが、日米間の合意に基づき米側へ無償提供されたことが、8日分かった。両政府が1日付で協定を結んだ。

 この日の県議会の一般質問で、矢敷健治岩国基地対策室長が明らかにした。昨年12月の日米合同委員会で合意後、今月1日に政府間で協定締結。今後、米側に用地が引き渡されるという。現在、米軍家族住宅(262戸)や野球場など運動施設が順次整備されている。

 また、2006年の当初計画から移転機数の増加や機種変更があったのを踏まえ、国に疑問点を照会した検証結果を説明。一部の地域で騒音が拡大するものの、移転前後で基地周辺住民の生活環境が大きく悪化しないため「基地機能の強化に当たらない」と述べた。

 これに対し、県議3人が「極東最大の航空基地になる。明らかな機能強化だ」などとして、県の判断を疑問視する意見が相次いだ。矢敷室長は「県は軍事機能を判断する権限や知見がなく、騒音や安全面で生活環境が悪化するかを基準にしている」と答えた。

 県はこれまで、移転計画の是非を判断するために「基地の今以上の機能強化は容認できない」「夜間離着陸訓練(NLP)実施は容認できない」「地元の意向を尊重する」の三つの基本姿勢を掲げている。今回の検証結果を受け、矢敷室長は「機能強化とNLPは一定の整理ができた」と述べた。(和多正憲)

(2017年3月9日朝刊掲載)

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