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広島県内の避難者 評価 福島原発事故 賠償命令 「実情訴え全員で勝訴」

 福島第1原発事故で巨大津波を予見できたなどとして、国と東京電力の責任を認めた17日の前橋地裁判決を受け、同様の訴訟を広島地裁に起こした県内の避難者たちに評価の声が広がっている。ただ、賠償が認められたのは原告の半分に満たず、事故後に福島県から広島市に移り住んだ原告団副団長の石森雄一郎弁護士(37)は「避難者一人一人の実情を訴えたい」と力を込める。(有岡英俊)

 前橋地裁判決は、被曝(ひばく)の危険性や不安の高まりによる精神的苦痛など原告の損害を1人ずつ検討。石森弁護士は「年齢や古里を離れた経緯などを基に避難が合理的か判断しており、避難者の苦悩が正しく理解されている」と着目する。

 さらに、避難指示区域外からの自主避難者の請求を一部認めた点も評価。広島地裁の原告は大半の11世帯28人が自主避難者で、「個別の事情を検討し、広島の原告でも認められる可能性がある」と期待を込めた。

 一方で、原告137人計約15億円の損害賠償請求のうち、62人計3855万円しか認められなかった点については、「東電や国に二度と事故を起こしてはならないと迫る金額になっていない」と不満を強める。

 広島の原告団は、14年9月に提訴。福島県を中心に広島県内に避難した12世帯32人が、東電と国に1人当たり1100万円の賠償を求めている。石森弁護士は「苦渋の決断で避難せざる得なかった。それぞれの事情や古里への思いをしっかり訴え、全員で勝訴したい」としている。

福島の訴訟結審 3例目

 東京電力福島第1原発事故当時、福島県と隣接する3県に住んでいた3864人が、避難や放射線量が高くなった地域での居住を強いられたとして、国と東電に線量を事故前の水準に戻す原状回復と、それまで1人当たり月額5万円の慰謝料などを求めた訴訟が21日、福島地裁(金沢秀樹裁判長)で結審した。判決は10月10日。

 原告側弁護団によると、全国で約30件ある原発事故被災者らによる集団訴訟では最大規模で、請求額は現時点で約210億円。結審は前橋、千葉両地裁に続き3例目。

 結審前の弁論では原告4人が意見陳述し、第1原発がある同県双葉町から避難した福田いく子さん(62)は「家族、親戚が避難を強いられ散り散りになった。地域の人とのつながりもお金に換えられない。私たちの町を元の姿に戻して」と涙ながらに訴えた。

(2017年3月22日朝刊掲載)
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