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上関ボーリング調査へ 中電「地質データを補強」

 中国電力は17日、山口県上関町の上関原発建設予定地の断層を把握するため、原発の新規制基準を踏まえたボーリング調査をすると発表した。2011年3月の福島第1原発事故を受けた準備工事の中断以降、敷地内では初めて。「将来を見据え、データを補強して万全を期す」としている。

 対象は、中電が09年までの地質調査で「約12万~13万年前以降の活動はない」と判断した断層。昨年8月に再稼働した伊方原発3号機(愛媛県伊方町)など既設原発の適合性審査で採用された、鉱物脈を確認する方法で追加調査する。来月中旬にも着手し、1年間に陸域6カ所程度を調べる。

 中電上関原発準備事務所によると、原発事故前に国の原子力安全・保安院の意見聴取会で受けた指摘を基に、試掘坑や岩盤の調査は続けていた。昨年1月、今回の調査方法が島根原発2号機(松江市)で認められたのを受け、上関での実施を模索してきたという。

 国が「新増設については現時点で想定していない」とする中、中電は上関原発の早期着工に意欲を示す。山口県の村岡嗣政知事は昨年8月、予定地の海を埋め立てる免許の延長を許可した際、原発本体の着工時期の見通しが付くまでは工事しないよう中電に要請。中電は「慎重に対応する」と回答している。

 同事務所は「埋め立て工事とは直接関係がない」と強調。県商政課は「知事要請の範囲外と理解している」とした。(井上龍太郎、佐藤正明)

(2017年5月18日朝刊掲載)

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