×

ニュース

広島から福島 思う場に 横川シネマ 音楽イベント

 「フクシマを未来への希望の象徴に変えたい。ヒロシマがそうであったように」。東日本大震災と原発事故の放射線被害を受けた福島に寄り添い、共に考えるイベントが19日、広島市西区の横川シネマである。大竹市在住のシンガー・ソングライター二階堂和美さんが企画した。

 音楽家大友良英さんや詩人和合亮一さんの呼び掛けで、昨夏始まった「フェスティバルFUKUSHIMA!」の一環。今年は国内外100カ所以上で同時多発的に開催される。広島では、二階堂さんたち出演者と楽器を持ち寄る来場者が、大友さんの指揮で、その日限りの即興オーケストラを編成する。

 昨年8月15日、二階堂さんは福島市で開かれたフェスへ駆け付けた。震災で亡くなった人を思う日にしたかった。フェスには約20組の音楽家が集い、約1万3千人が来場した。

 「いろんな思いを抱えて福島に集まった演者とお客さんが青空の下で一つになれた」。歌い踊る二階堂さんの姿は、広島でも近く公開されるフェスを追ったドキュメンタリー映画「プロジェクトFUKUSHIMA!」に収められている。

 まだ放射線の影響が懸念される時期。二階堂さんを福島へ向かわせたのは海外ツアー中に知った友人の死だった。昨年7月27日、40歳で急逝した広島市出身の音楽家レイ・ハラカミさん。「きっと広島出身であることを背負って、このプロジェクトに関わっていた。彼の遺志を継げるのは私しかいないのではないか。お節介にも勝手に思い込んだ」と照れながら振り返る。

 震災前から原発建設計画に反対する祝島(山口県上関町)住民と交流を続ける。「この国が変わるきっかけになるかもしれない」。絶望的な状況にも希望を見いだす。「今の私には音楽が一番身近だから。それを通して広島から福島を思う場をつくりたい。諦めないこと。忘れないこと。小さくても続けることに意義がある」

 午後6時から。ライブのほか、原発事故に題材を得た作品を連載している漫画家西島大介さんとのトークもある。飲み物付き4千円。小学生以下無料。16日と25日には映画「プロジェクトFUKUSHIMA!」を上映する。横川シネマTel082(231)1001。(渡辺敬子)

(2012年8月9日朝刊掲載)

年別アーカイブ