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「被爆国と言えるのか」 核禁交渉不参加 ヒロシマ落胆と怒り

 「被爆国と言えるのか」。岸田文雄外相が「核兵器禁止条約」の第2回制定交渉会議(6月15日~7月7日)への不参加を明言した26日、広島の被爆者に落胆と怒りが広がった。

 二つの広島県被団協や県生協連などがこの日、広島市中区で開いた核兵器廃絶を訴える集会。約100人の参加者で採択したアピールには、日本政府への交渉参加を求める一文が入っていた。「非常に残念。原爆ドームもある広島の選挙区選出の外相なのに、被爆者の思いに沿ってくれんとは」。県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之副理事長(75)は終了後、悔しさをにじませた。

 日本被団協から第2回会議に派遣される箕牧副理事長は、参加国の政府代表に配るつもりの原爆ドームのバッジなどを準備中。「被爆者と日本政府の思いは違う。現地では、条約制定に力を注ぐ国や市民にそうはっきり伝え、議論を一層深めてもらいたい」と言う。

 県被団協(佐久間邦彦理事長)の大越和郎事務局長(77)も同じ集会会場で「ひどすぎる。『被爆者』と記された条約草案を見てなお核保有国の立場に立つというのか」。第2回会議で議論される条約草案に「被爆者の苦しみに留意する」との表現が盛り込まれた中での不参加表明に憤った。

 集会では条約草案について講演し、被爆者への言及に期待感を強調。「署名を中心に市民運動のうねりを広げ、政府の態度を変えさせたい」と力を込める。

 第2回会議へ参加するよう、先月に松井一実市長名の書簡で外相に要請した広島市。平和推進課は「被爆地として政府への働き掛けを続けたい」としている。(水川恭輔、岡田浩平)

(2017年5月27日朝刊掲載)

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