×

ニュース

住民 将来分の賠償請求 岩国爆音訴訟控訴審 国側は「対象外」

 米海兵隊と海上自衛隊が共同で使う岩国基地(岩国市)の騒音被害を巡り、周辺住民654人が損害賠償や夜間早朝の飛行、米空母艦載機移転の差し止めなどを国に求めた岩国爆音訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が16日、広島高裁であった。原告は、滑走路の沖合移設後に騒音被害が軽減されたなどとして賠償を過去分の一部しか認めなかった一審山口地裁岩国支部判決を不当とした上で、艦載機移転で騒音被害は増大すると主張。将来分を含めた賠償と移転差し止めなどを求めた。国は全ての請求を退けるよう求めた。

 原告側は控訴理由書などで、2010年5月の滑走路の沖合移設後、騒音が一定程度軽減されたとした一審判決について、判決後に独自に行った騒音測定の結果などを基に「最大騒音レベルはなお高く、健康被害も起きている」と強調。米軍の計画で早ければ7月にも始まる艦載機移転を踏まえ、「将来も騒音被害は増大し、継続することが明らかだ」と訴えた。

 これに対し、国側は「(騒音の程度は)環境基準を満たしており、看過し得ない被害が生じているとはいえない」と主張。艦載機移転については、移転後の騒音被害も含め、移転が実現していない段階では考慮の対象にならないとした。

 この日の弁論では、原告2人が意見陳述し、沖合移設後の騒音の実態や艦載機移転による騒音被害への不安を訴えた。

 一審判決は騒音を「違法な権利侵害」と認定。過去の騒音被害の一部計5億5800万円の賠償を国に命じたが、将来分の賠償や米軍機の飛行、艦載機の移転差し止めなどは退けた。住民と国側の双方が控訴していた。(有岡英俊)

(2017年6月17日朝刊掲載)

年別アーカイブ