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「静かで安心な生活を」 岩国爆音訴訟控訴審 周辺住民訴え

 爆音被害を解消する司法判断を―。米側の計画で米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機の移転が7月にも始まるのを前に、広島高裁で16日に開廷した岩国爆音訴訟の控訴審。基地周辺に暮らす原告は2010年5月の滑走路の沖合移設後も続く騒音被害や移転後の騒音の増大への不安を訴え、移転差し止めも認めなかった一審判決の見直しを求めた。

 「早朝、睡眠中に激しい爆音で跳び起きたこともある。むしろ騒音は大きくなった」。原告団の津田利明団長(71)はこの日、法廷での意見陳述で、騒音被害の現状を訴えた。「艦載機が移駐すればさらに騒音が増す。これ以上の被害をなくすためには移駐の差し止めを認めてもらうほかない」と訴えた。

 基地に近い市街地に住む主婦(74)も証言台の前に立ち、「国は軍用機は市街地上空を飛ばないと言うが、頭上を編隊で飛んでいることもある」と強調。「先週も、ものすごい爆音がし、座っていた座布団の下から振動がはい上がってきた。静かに安心して暮らせるようにしてほしい」と求めた。

 弁護団の山田延広弁護士(広島弁護士会所属)は、艦載機の移転で「騒音被害の増大は間違いない。今以上に騒音の大きい機種が配備される」とあらためて移転の差し止めの必要性を訴えた。

 弁論終了後、広島弁護士会館であった報告集会では、国側が法廷で、約1キロ沖合への滑走路移設で「騒音が大幅に軽減された」としたことに批判が相次いだ。来年3月までの3回の弁論期日が決まり、弁護団の横山詩土弁護士(山口県弁護士会所属)は「裁判は長くなるが、裁判官がしっかり(原告の主張を)考えてくれるということだ」と説明。津田団長は「被害の実態を正しく伝えていこう」と呼び掛けた。(坂本顕)

(2017年6月17日朝刊掲載)

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