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核問題 倫理面から討議 IPPNW世界大会2日目

 広島市中区の広島国際会議場で開かれている第20回核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会は2日目の25日も、活発な討議が繰り広げられた。全体会議では核問題を倫理に照らし合わせて捉え直し、教育講演では被爆地広島の医師たちが、いまなお続く原爆放射線の健康被害について報告した。

 全体会議では4人が登壇。元スイス大使で東海学園大の村田光平名誉教授は「福島第1原発事故は、膨大なエネルギーを必要とした経済至上主義が招いた結果」と強調。「放射性廃棄物を次世代に押しつけ続ける倫理の欠如が根幹にある。人類は生活様式を見直す覚悟が必要だ」と訴えた。

 国連訓練調査研究所(ユニタール)のナスリン・アジミ上級顧問は広島が軍都から平和都市に生まれ変わった戦後の歩みを紹介。「ヒロシマは原爆を憎むのではなく忘れないという道を選び、核兵器廃絶への道筋を示した」と述べた。

 教育講演では、日本赤十字社長崎原爆病院の朝長万左男院長たち4人が、治療や調査を通して蓄積してきた、被爆者の健康問題にまつわる見識を示した。(山本堅太郎)

(2012年8月25日夕刊掲載)

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