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放射線影響めぐり議論 IPPNW2日目 医師がリスク訴え

 広島市中区の広島国際会議場で開かれている第20回核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会は2日目の25日、放射線の健康への影響や核問題などをめぐって活発な議論が繰り広げられた。23年ぶりの被爆地開催の意義を深めるため、被爆体験の継承を目指すプログラムもあった。

 原爆放射線の影響に関する教育講演には、4人の医師たちが登壇。日本赤十字社長崎原爆病院の朝長万左男院長は、進行すれば白血病になる骨髄異形成症候群の患者が被爆者の間で徐々に増えていることを指摘し「被爆者は生涯、がんと白血病のリスクにさらされている」と訴えた。

 放射線影響研究所(南区)のロイ・ショア副理事長は、福島第1原発事故に伴う低線量被曝(ひばく)について、追跡調査の必要性を唱えた。

 全体会議では、元スイス大使で東海学園大の村田光平名誉教授や、国連訓練調査研究所(ユニタール)のナスリン・アジミ上級顧問たち4人が、原発を含む核問題をテーマに議論した。

 被爆2世の医師によるシンポジウムは初めて取り入れられた。被爆した親を持つ広島、長崎、ブラジルの医師3人が原爆の悲惨さを訴え続ける重要性を確認した。ユースサミットに参加した国内外の高校生や大学生たちは意見交換を通して、核兵器廃絶への決意を新たにしていた。

 最終日の26日は、福島第1原発事故の医療支援をテーマにした全体会議などがある。世界大会会長の平松恵一IPPNW日本支部長が大会アピールを読み上げ、閉幕する。(山本堅太郎)

(2012年8月26日朝刊掲載)

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