×

ニュース

広島でIPPNW世界大会 被爆2世医師核廃絶を探る

 広島市中区の広島国際会議場で開かれている第20回核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会で25日、被爆2世の医師によるシンポジウムがあった。医師として被爆体験を引き継ぎ、核兵器廃絶を目指す方策を探る初の試み。広島、長崎、ブラジルの医師3人が話し合った。(田中美千子)

 広島市南区で開業する檜山桂子さん(54)は原爆の遺伝的影響に詳しく、放射線影響研究所(南区)の専門委員も務める。広島で救護のため被爆した母親の体験を紹介し「被爆者の痛みに共感を持って治療する姿勢を大事にしたい」と強調した。

 母親が被爆した長崎大副学長の調漸(しらべ・すすむ)さん(57)は、4月に同大に開設された核兵器廃絶研究センターについて説明。「核兵器を使うことの愚かさを伝え続ける」と誓った。

 ブラジル・サンパウロ大准教授の鮫島弘一さん(56)は長崎で入市被爆した父を持つ。高齢化で減り続けるブラジルに住む被爆者の現状を報告。記憶の風化を防ぐため、原爆放射線の人体影響に関する本をポルトガル語に翻訳し、ネット上で公開する考えを示した。

 シンポは昨年3月、広島県内の医師で発足した「被爆2世医師の会」が企画した。

(2012年8月26日朝刊掲載)

年別アーカイブ