×

ニュース

「この世界」 題材に短歌 私たちが詠んだ平和 安田女子大生 作品展示を計画

 戦時下の広島や呉を舞台にしたアニメ映画「この世界の片隅に」を題材に、安田女子大(広島市安佐南区)の日本文学科の学生21人が短歌を詠んでいる。同世代の主人公、浦野すずと同じ目線で戦争に向き合い、平和への決意を込める。(新谷枝里子)

 「白鷺(しらさぎ)を追う左手が触れたのは 私を見つけ出した人の背」「ありがとう私はここで生きていく あなたと会えた世界の片隅」…。

 嫁ぎ先の呉で空襲のため右手とめいの命を失い、広島への原爆で実家の家族を亡くした主人公のすずの姿から、夫への感謝や戦後を生き抜いていく決意を読み取り、短歌にした。

 川岸克己准教授(日本語学)のゼミの平和プロジェクトの一環。川岸准教授は「戦争や原爆を経験していない人だけで、ヒロシマを受け継ぐようになる日は遠くない。短歌を通じ、平和とは何かを考えてほしかった」と狙いを語る。

 学生はまず3首ずつを制作した。すずの思いや自分たちの平和への決意を短歌にどう反映させるか意見交換し、最終的には9連首に仕上げる考え。書道を学ぶ学生に筆でしたためてもらい、原爆の日の8月6日ごろに紙屋町地下街シャレオ(中区)などで展示する計画だ。

 一部の学生は、すずの実家として描かれた中区江波地区でフィールドワークもした。4年宮崎理佐さん(21)は「アニメは架空の世界だが、私たちが暮らす今と地続きのように感じる。表現を磨き、多くの人が平和について考える歌を作りたい」と話した。

(2017年7月13日朝刊掲載)

年別アーカイブ