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　欧州を拠点に活躍する指揮者、大野和士さん（５２）が２日、広島市安芸区の原爆養護ホーム「矢野おりづる園」を訪れ、コンサートを開いた。大野さんのピアノ伴奏とオペラ歌手４人の伸びやかな歌声に、入所者や住民約１５０人が聞き入った。

　９曲を披露した。プッチーニの「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」など、オペラの名曲を情感豊かに歌い上げた。

　最後は唱歌「故郷（ふるさと）」で締めくくり。入所者も合唱し、手拍子も湧き起こった。入所者の原田トシ子さん（９３）は「歌声が今も耳に残っている。こんな感動初めて」と喜んでいた。

　大野さんはフランス国立リヨン歌劇場の首席指揮者。２００８年から日本全国の高齢者施設などで同様のコンサートを開いている。（井上龍太郎）

（２０１２年９月３日朝刊掲載）