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オスプレイ 下関沖で試験飛行 政府調整 米軍の訓練空域

 岩国市の米海兵隊岩国基地に搬入されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機について、防衛省が、下関市沖の日本海にある米軍訓練空域で試験飛行を実施する方向で米側と調整していることが13日、分かった。

 同省によると、下関市沖の「R134」と呼ばれる空域。試験飛行は1機ずつで、瀬戸内海上を通り、関門海峡上空を抜けて向かうという。基地所属機が現場に向かう場合は通常、中国山地上空を抜けるが、オスプレイの安全性に不安を抱く住民感情に配慮したルート設定とみられる。

 この空域は岩国基地から直線距離で約150キロ。防衛省は、岩国基地周辺の瀬戸内海上に米軍の訓練空域がないため、基地から最も近いこの空域を選んだとしている。ただ、天候の状況などから別の訓練空域を使用する場合もあるとしている。

 試験飛行では機体のシステムと、操縦士の技能の2種類をチェックする。同省では「それほどの時間はかからない」とみている。

 森本敏防衛相は12日に山口県入りし、再来週までに日米間で安全性の確保について最終的な合意をし、地元説明を経て試験飛行に移るというスケジュールを説明していた。

 森本防衛相の説明通りに9月下旬に日米合意すれば、試験飛行はその時期か10月初め以降になる公算が大きい。

 政府は、試験飛行開始から配備予定先の普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)へ12機すべてが移動を終えるまでおおむね2週間とみており、米側が予定する10月上旬の普天間配備がやや遅れるのはほぼ確実な情勢だ。(大村隆)

オスプレイ 普天間配備へ着々 安全性 議論続く中

 試験飛行候補地は下関沖の日本海―。米海兵隊岩国基地(岩国市)に搬入されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの飛行運用の中身が13日、また一つ明らかになった。地元岩国市と配備予定先の沖縄県に限らず、各地への影響がより具体的になってきた。(大村隆)

 防衛省によると、下関沖の空域までの経路はこうだ。岩国基地をヘリコプターモードで離陸し、基地周辺の海上で固定翼モードに変換。かなりの高度で瀬戸内海上を移動し、日本海に抜ける。「多くの島や関門海峡もある」と一部陸上の通過も示唆している。

 森本敏防衛相は12日、再来週までに安全性の確保について日米間で最終的な合意をし、地元への説明を経て試験飛行に移ると、今後のスケジュールを説明した。下関沖での試験飛行は10月となる可能性が高い。

 試験飛行などをめぐり国と地元との協議が続く。「陸揚げ自体を認めない」としていた福田良彦市長は7月23日の強行搬入から2日後の同25日、二井関成元知事らと上京。外務、防衛両大臣に「安全性が確認されるまで飛行させない」など5項目を要請した。

 その「安全性」。森本防衛相は2度の墜落事故について、機体に問題はないとする米側の調査結果を追認。今月12日に説明を受けた福田市長は「安全性に関する疑義は、ある程度払拭(ふっしょく)された」とし、国の最終報告を待って「冷静に判断したい」とした。

 だが、飛行について地元理解は必要なのだろうか。森本防衛相は12日、県庁で報道陣に対し「(県、市などへの説明は)広く意見を聞くため」「(試験飛行を)容認するのは日本国政府」と述べた。

 岩国での試験飛行は普天間配備へのステップにほかならない。普天間配備はその後の全国でのオスプレイの低空飛行訓練に直結する。国全体を巻き込む問題に岩国はいま、直面している。

(2012年9月14日朝刊掲載)

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