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新エネ戦略「原発ゼロへ」 一歩前進/電力が心配 

 島根原発(松江市)の地元や広島市内では、将来の原発ゼロ目標を評価する声と、実現性や経済への影響を心配する声が交錯した。

 「一歩前進」。島根県では、島根原発増設反対運動の芦原康江さん(59)が新戦略を歓迎。「中電は稼働40年に近い1号機をすぐ廃炉にする決断を」と求めた。松江市の松浦正敬市長は「(原子炉は)古くなれば不具合が出る。いつかは廃炉にしないといけない」と40年制限を一定に評価した。

 一方、松江市鹿島町、古浦自治会の亀城幸平会長(62)は「原発なしは理想だが、それほど再生可能エネルギーが普及するとは思えない」と疑問を示す。

 被爆地広島では、広島市中区の主婦中村裕美さん(30)が「電力が賄えるか心配だが、周囲に危険を及ぼす恐れのある原発は怖い」とゼロ目標を支持。妹を原爆で失った佐伯区の被爆者田村義一さん(82)は「恐ろしい原子力で電力を得るのはどうか」と語った。

 広島県中小企業家同友会の粟屋充博代表理事(54)は「電気料金が上がり、製造業の海外移転がどんどん進むだろう」と懸念した。

(2012年9月15日朝刊掲載)

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