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基地周辺 事故リスク懸念 艦載機移転開始 生活への影響は 

 米海兵隊岩国基地(岩国市)に米海軍厚木基地(神奈川県)から空母艦載機の移転が始まった9日、地元岩国市や訓練空域がある広島県西部・北部、島根県西部などで反発や懸念が広がった。「墜落への不安が増す」「日常生活への影響が心配」―。岩国基地がどう変貌するのか、住民や自治体は注視している。

 滑走路を見渡す岩国基地北側の堤防道路。「市民にとって大きな災いの要因が増える」。基地監視団体リムピースの共同代表を務める田村順玄・岩国市議(71)は、空母艦載機E2Dが次々と到着する様子を苦々しい表情で見詰めた。

 波紋は県境を越えて広がる。大竹市の入山欣郎市長は移転を容認するものの、「市民が我慢する部分が大きくなるのは間違いない。騒音と安全で十分に配慮を」。市自治会連合会の岡野俊彦会長(80)は「夜間飛行や騒音で迷惑を掛けてほしくない」と訴えた。

 廿日市市では1月、米軍機の騒音測定器で初めて100デシベル(電車が通る時のガード下に相当)を超える音を記録した。「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会」の坂本千尋共同代表(64)=同市=は「100デシベル超えは増える。住民が急に難聴になったり漁業で魚が餌を食べなくなったりしないか」と気をもんだ。

 広島県北広島町は廿日市市、三次市、同県安芸太田町とともに低空飛行訓練中止の国への働き掛けを強める。北広島町の箕野博司町長は「町民の不安が強まらないよう引き続き連携して強く求める」。昨年度に110・5デシベルの騒音を観測した八幡地区の迫正治さん(59)は「米国と協議して騒音の上限を決めてほしい」と訴えた。

 同県西部住民の会県北地域世話人会の小武正教さん(59)=三次市=は「戦闘機の訓練は墜落のリスクが高く不安」。益田市危機管理課は「日常生活へのさまざまな悪影響が懸念される」、浜田市の砂川明総務部長は「訓練は当然増える。状況を見ながら対応を決める」とした。

 移転開始は「長崎原爆の日」。岩国市原爆被害者の会の山田英子さん(82)は静かに語った。「米軍は意識しないのか。被爆者や遺族の感情を逆なですることはしてほしくない」

(2017年8月10日朝刊掲載)
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