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米新型核実験 怒りや落胆にじむ 広島市や県 オバマ氏に抗議文

 米国が昨年11月に続く5回目の新たなタイプの核実験を実施したことが19日、判明した。オバマ米大統領が「核兵器なき世界」を唱えたプラハ演説から3年半。繰り返される核実験に、被爆地広島には怒りと落胆の声が広がった。広島市と広島県などは、オバマ大統領宛てに抗議文を送った。

 広島県被団協の坪井直理事長は「絶対に許せない。どんな国も核兵器の研究も実験もしてはいけない」と語気を強めた。もう一つの県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長も「核兵器の性能維持という名目で核抑止論に固まる姿勢に怒りを覚える」と憤る。

 オバマ大統領は2009年4月のプラハ演説で「核兵器のない世界を目指す」と明言。しかし、米国はその後、臨界前核実験を3回、今回を含め新型核実験を5回の計8回実施してきた。

 県原水禁の藤本講治事務局長は「米国が核実験をやめるよう日本政府は強く求めてほしい」。県原水協の古田文和事務局長は「核兵器禁止条約の早期締結に向けた世論形成を急がなければ」と話した。

 一方、広島市と広島県、呉市、広島市の松井一実市長が会長を務める平和市長会議はそれぞれ、オバマ大統領、ジョン・ルース駐日米大使宛てに抗議文を送付した。

 松井市長は「平和を願う被爆地の思いが届いていないのではないかと落胆する」。湯崎英彦知事は「オバマ政権が目指す核兵器のない世界と矛盾している」と批判した。呉市の小村和年市長は「一日も早い核兵器廃絶の実現に向けた努力を」と訴えた。(加納亜弥、衣川圭、小林可奈)

(2012年9月20日朝刊掲載)

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