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オスプレイ 体験搭乗をせず 岩国市長 知事も断る方針

 岩国市の福田良彦市長は20日の市議会定例会で、米海兵隊岩国基地で27日に予定されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの体験搭乗に参加しない考えを示した。

 福田市長は定例会の冒頭、19日の森本敏防衛相との会談内容を報告。その後、市議の「体験搭乗するのか」との質問に、「搭乗することで安全性が確認できるものではない。搭乗は考えていない」と答えた。その上で、「さまざまな情報収集の一環として市職員を参加させるかどうか検討している」と述べた。

 山口県の山本繁太郎知事は19日の森本防衛相との会談後、記者団に「体験搭乗する考えは全くない。乗って県民の不安が払拭(ふっしょく)されるわけではない」と断る方針を示した。

 広島県の湯崎英彦知事も、県議会定例会の開会中を理由に断った。一方、大竹市は大原豊副市長と太田勲男総務企画部長が搭乗を予定している。

 体験搭乗はオスプレイの安全性を確認してもらう目的で、防衛省が米軍に要請して実施。山口、沖縄両県の政治家や自治体関係者、マスコミなど80人以上を招いて行う。防衛省によると、岩国基地を離着陸するが、飛行ルートは未定という。(酒井亨、金刺大五)

国外撤去求め議会が意見書 広島県安芸太田町

 広島県安芸太田町議会は20日の定例会本会議で、米海兵隊岩国基地(岩国市)に先行搬入されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの国外撤去などを求める意見書案を可決した。

 意見書では、2004年4月に米軍のヘリコプターが町内に不時着した事故に言及。「オスプレイの岩国基地搬入と試験飛行に対する住民不安は高まっている」とし、同町の上空などでの飛行訓練と国内配備の中止を米軍に強く要求するよう政府に求めている。

 同町では、住民有志が8月、オスプレイの岩国基地への駐機と飛行訓練に反対を表明するよう、町と町議会に要望書を提出していた。

安全宣言に懸念 中四国防衛局に周辺自治体表明

 中国四国防衛局は20日、オスプレイの安全宣言を政府が出した経緯や安全確保策について、広島県や米海兵隊岩国基地の周辺自治体に説明に回ったが、各自治体は一様に懸念を示した。

 同防衛局の渡辺一浩局長の説明に対し、大竹市の入山欣郎市長は「国民が納得できる説明を続ける努力が必要。住民の心配には十分配慮してほしい」と強調した。広島県は湯崎英彦知事が「県民の懸念が払拭されない中、近日中に試験飛行が行われるのは誠に残念。安全と安心の確保に最大限の努力を」とコメントを出した。

 山口県周防大島町の椎木巧町長、和木町の古木哲夫町長も、沖縄配備の意義や事故の再発防止策などを説明する渡辺局長に懸念を伝えた。

 取材に対し椎木町長は「事故が相次ぎ、住民からすると不安が取り除かれたとは思えない」。古木町長は「再発防止策は不十分。より具体的で詳細な内容でなければ納得は得られない」と指摘した。

(2012年9月21日朝刊掲載)

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