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オスプレイ国内初飛行 岩国から下関沖 市街地通過も

 米軍は21日、岩国市の米海兵隊岩国基地に搬入している垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機の試験飛行を始めた。オスプレイが飛行するのは国内初。配備先の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を抱える沖縄県や山口県、岩国市などは安全性への懸念を解消しておらず、試験飛行の強行で反発はさらに強まりそうだ。

 この日は1機目が午前9時20分ごろに滑走路を離陸。午後6時すぎまでに7機が計8回飛び立ち、いずれも1~2時間で基地に戻った。下関市沖の日本海上にある「R134」と呼ばれる訓練空域に向けて飛行したとみられる。

 防衛省によると、試験飛行は瀬戸内海と関門海峡の上空を抜け、R134で実施すると想定されているが、午前中に離陸した2機は下関市の市街地上空を飛んでいるのが確認された。

 在沖縄米海兵隊は21日、オスプレイの試験飛行に関し「岩国基地で動作確認飛行とパイロットの実践飛行を数週間実施し、搭乗員と機体の態勢が整い次第、普天間飛行場に移動する」との声明を発表した。

 試験飛行開始を受けて、山口県の山本繁太郎知事は21日、記者団に「県民の安全確保を最優先に行動する」と話した。出張先の東京からJR新岩国駅に21日夕に帰着した岩国市の福田良彦市長も「今でも飛行は認められないという気持ちに変わりはない」と述べた。

 藤村修官房長官は記者会見で、国内配備の意義や安全性について、あらためて地元に理解を求める考えを表明した。

 一方、沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事は「『配備ありき』的なやり方でどんどん進めている印象が強い」とコメントした。

 米軍は早ければ28日から12機を順次、普天間飛行場に移し、10月から本格運用を開始する方針。その後、岩国基地とキャンプ富士(静岡県御殿場市)に毎月数機を派遣し、本州、四国、九州各地で低空飛行訓練を計画している。

 オスプレイは岩国基地に7月23日に搬入。モロッコ、米国で墜落事故が相次ぎ、約2カ月間、飛行を見合わせていた。日米両政府は今月19日に安全確保策で合意。日本政府が「安全宣言」を出したことで、米軍が試験飛行の実施に踏み切ったとみられる。

(2012年9月22日朝刊掲載)

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