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ヘリ横転 原因究明要請 山口県・岩国市など 海自が調査委

 海上自衛隊岩国基地(岩国市)で17日に発生した海自のCH101ヘリコプターの横転事故を受け、山口県と岩国市など2市2町でつくる県基地関係県市町連絡協議会(会長・村岡嗣政知事)は18日、原因の早期究明などを同基地に申し入れた。海自は内部の事故調査委員会を設置し、調査を進めている。(松本恭治、藤田智)

 県と岩国市の担当者が同基地を訪ね、原因究明や安全点検の徹底などを口頭で要請。基地側は「事故調査委の調査結果を受け、再発防止に努めたい」と回答した。この日、市役所で報道陣の取材に応じた福田良彦市長は「市民の中に不安の声もあり、非常に遺憾」と述べた。

 海自は17日中に事故調査委を設け、調査を開始。18日も横倒しとなった事故機のそばで現場検証を実施した後、機体を撤去した。関係者への聞き取りやフライトレコーダー(飛行記録装置)の分析も進める。

 また、事故機を含めて3機あるCH101と、他の同型機10機は当面の間、飛行を自粛する。南極観測船(砕氷艦)しらせは24日~10月3日に訓練を予定しているが、同船の艦載機であるCH101の参加の可否は不明という。

 事故は17日午後2時20分ごろ、基地南寄りの海に突き出た一角で起きた。ドラム缶2本をつり下げて飛行する訓練中、地上数メートルの高さまで高度を下げたところバランスを崩し、主回転翼(メインローター)が地面に接触して横転。乗っていた男性隊員8人のうち4人が軽傷を負った。

柳井市には連絡せず 基地内事故 通報基準なく

 17日に海自岩国基地で起きたCH101ヘリコプター横転事故では、海自側は地元自治体や関係機関へ通報する一方、近隣の柳井市への連絡はなかった。海自や米軍は基地周辺地域での事故時の連絡体制を整えているが、基地内での発生時は明確な基準がない。今後、米空母艦載機移転で航空機数が倍増する中、県民への周知も含めた迅速な情報提供が求められる。

 海自や中国四国防衛局によると、17日午後2時20分の事故発生から約35分後には、山口県や岩国市、岩国署に対し「基地内でCH101が横転したが、死者はいない」との一報を伝えた。基地周辺の和木町と周防大島町、岩国海上保安署、岩国地区消防組合のほか、隣県の広島県と大竹市にも情報提供したが、柳井市への連絡はなかった。

 海自や米海兵隊岩国基地は、基地周辺地域での自衛隊機や米軍機の事故に備え、県と4市町(岩国市、柳井市、周防大島町、和木町)、地元の警察署など関係機関でつくる連絡協議会を構成。緊急連絡体制を敷いている。ただ、基地内での事故の場合は明確な連絡体制がないという。

 協議会メンバーの柳井市は「事故の報告は常にいただきたい」とする。防衛局は「基地内で発生し、周辺地域への被害もなかったので今回の対応になった。今後は柳井市にも報告したい」としている。

 一方、協議会の連絡体制に近隣住民や報道機関は含まれておらず、海自側の報道発表は事故発生の約4時間後となった。岩国市自治会連合会の河角衛会長(85)は「報道で事故を知ったが、地元自治会には何も連絡がない。航空機事故は基地内で起きても情報提供してほしい」と求めている。(和多正憲、堀晋也)

(2017年8月19日朝刊掲載)

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