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高瀬寧・駐メキシコ大使に聞く 広島で五輪合宿 交流拡大に期待

 駐メキシコ大使に就任した高瀬寧氏(60)が22日、広島市を訪れ、中国新聞のインタビューに応じた。2020年東京五輪のメキシコ選手団の広島での事前合宿を契機とした交流拡大に期待感を表明。核兵器のない世界の実現に向け、核軍縮に熱心なメキシコとの連携を強める姿勢を示した。(胡子洋)

  ―広島での事前合宿が決まり、メキシコへの関心が高まっています。
 広島県とメキシコ・グアナファト州は友好提携を結んでおり、事前合宿で関係性はさらに深くなる。今後、合宿について協議が具体化する。しっかりサポートしたい。18年は日本とメキシコが外交関係を樹立し130年の節目。日本へのインバウンド(訪日外国人客)の増加に向け、プロモートしたい。その中で広島は重要な都市だ。事前合宿は大きな動機付けになる。

  ―メキシコにはマツダをはじめ多くの県内企業が進出しています。経済面の関係をどう発展させますか。
 マツダが11年に工場建設を決めて以降、日本企業の進出が相次ぎ、今や千拠点以上ある。マツダをはじめ日本企業の人材育成や技術面の貢献は大きく、信頼は厚い。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉が始まり、不透明な点もあるが、メキシコ政府と緊密に連携を取り日本企業の要望をつなぐ。

  ―核兵器禁止条約をメキシコは推進したのに対し、日本は不支持を表明しました。大使としての役割は。
 メキシコは核軍縮、核不拡散に熱心な国。条約交渉には残念ながら核保有国は参加せず、核保有国と非保有国が協力するという日本政府の現実的なアプローチとは相いれなかった。北朝鮮の脅威をはじめとした東アジアの安全保障状況を理解してもらうことが重要と思う。核兵器のない世界の実現を目指すのは同じ。メキシコ政府と意思疎通を図りたい。

たかせ・やすし
 東京大法学部卒業後、1982年外務省入省。駐ジュネーブ国際機関日本政府代表部公使、中南米局長などを歴任。9月9日に着任する。横浜市出身。60歳。

(2017年8月23日朝刊掲載)

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