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「反対」かき消すごう音 オスプレイ試験飛行 岩国「配備の阻止 諦めぬ」

 相次ぐ事故と低空飛行などの懸念で反発を招いている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、ついに日本の空を飛んだ。岩国市の米海兵隊岩国基地に強行搬入されて60日たった21日。機体は山口県の瀬戸内海沿岸を飛び、日本政府が容認する米軍基地の存在感を見せつけた。

 午後4時前、柳井市神代の宮岬(みやばな)団地で、プロペラ音を響かせ岩国へ向かうオスプレイ1機の機影が確認された。「国民の安全無視だ」。肉眼で見た住民男性は不安そうにつぶやいた。機体は訓練先の下関市沖の日本海に向かったとみられ、機影は下関市の市街地上空でも確認。ニュースで試験飛行を知った市民の中には不安そうに何度も空を見上げる人もいた。

 この空域に向かうオスプレイは瀬戸内海上を通る。周防大島町の岡村春雄副町長は午前10時ごろ、町内の文珠山(662・7メートル)展望台に駆け付けた。「町の上空を通る可能性があり、確認が必要と思った」。町民の不安を考慮し自身で飛行経路や騒音の把握に努めた。

 基地では午前9時すぎに最初の1機が駐機場から滑走路へ移動し、抗議の市民たちが詰めかけた基地北側の堤防道路からも確認できた。その一人が「あれだ」と指して叫び、約60人が一斉に「試験飛行反対」「アメリカへ帰れ」などと声を張り上げた。

 オスプレイはヘリポートで主翼両端のプロペラ部分を上向きにし浮上、その後着陸し滑走路へ。今度はプロペラ部分を斜めに傾け、滑走し一気に空へ。周辺にパタパタパタという重い音が響いた。

 試験飛行に反対し岩国市役所前でハンガーストライキを続ける大川清さん(54)はその光景に「飛んだからといって、われわれが諦めるわけではない。試験飛行中止と沖縄配備を阻止するためにもいっそう声を上げたい」と憤った。

 この朝、同市基地政策課職員らは午前6時に出勤。市幹部と担当職員たち計3人が午前8時ごろから、基地南北の道路などで警戒した。飛行や騒音を確認し、オスプレイの騒音と認めた最高値は基地南の尾津町で記録した午前9時36分の83デシベル(交通量の多い道路並み)だったという。

(2012年9月22日朝刊掲載)

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