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オスプレイ合意違反か 米軍運用に住民不信感

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが民家上空などを飛んでいる目撃情報が相次ぎ、住民に不信感が広がっている。岩国市の米海兵隊岩国基地で始まった試験飛行は「可能な限り水上を飛行する」ことが日米合同委員会での合意。しかし「運用上必要な場合を除き」「可能な限り」といった文言も盛り込まれ、実効性の低さや合意事項違反の疑いさえ指摘されているからだ。

 試験飛行4日目となった24日、オスプレイ計3機が飛行した。元山口県議の久米慶典さんはこの日、垂直離着陸モードで区域外を飛行した疑いを含め、これまでの米軍の試験飛行には日米合意違反の可能性があるとして県に照会。試験飛行に抗議する集会を30日に岩国市で構える実行委員会も、国へ抗議するよう市に要請した。

 オスプレイの試験飛行が始まった21日以降、下関市街地や山口県周防大島町の上空での飛行が目撃されている。周防大島町の椎木巧町長は22日午前11時ごろ、柳井方面に向かう機体を役場近くの北西の空で目撃。「海上を通ると思っていたが、島の上を関係なく飛んでいて驚いた。住民の安全を確保するよう求めたい」と憤る。

 日米合同委では「移動の際には可能な限り水上を飛行」「運用上必要な場合を除き、通常、米軍施設及び区域内においてのみ垂直離着陸モードで飛行」などを合意。外務、防衛両省によると「施設・区域」は岩国基地周辺の場合、地位協定が適用される基地と基地周辺に広がる約1870ヘクタールの提供水域を指す。外務省は日米合意であり、確認して米側に必要な申し入れを行うとしている。

 山口県の山本繁太郎知事は24日、「具体的に認識していない」としたが、「試験飛行中で肝心なところ。事実関係を整理し、言うべきことはきちんと国に申し上げていく」とした。

 またこの日、基地周辺で監視した岩国市議の田村順玄氏は「『できる限り』などの文言がある合意。早速ほごにされている現状を見ると効果があるとは思えない」と指摘する。

(2012年9月25日朝刊掲載)

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