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Jアラート情報 確実につかもう 広島・島根 全市町村の伝達法を調査

屋外の防災無線が最多 登録制メールも 複数の手段確保を

 北朝鮮によるミサイルが北海道上空を通過し、危機感が増している。発射情報は全国瞬時警報システム(Jアラート)によって得られるというが、誰もがきちんと受け取れるのだろうか。自分の住む自治体がどんなツールを使って発信しているのかを知っておきたい。上空通過への警戒を強める広島、島根両県の全42市町村に住民への伝達方法を聞いた。(教蓮孝匡、桜井邦彦、久行大輝)

 総務省消防庁によると、自治体がJアラート情報を住民に伝える手段は主に六つある。①防災行政無線の屋外スピーカー②防災行政無線の戸別受信機③有線の屋外スピーカー④ケーブルテレビ(CATV)・コミュニティーFM⑤登録制メール⑥IP告知端末―だ。警報音が鳴った後、「発射」通知に続き、ミサイルの行方によって避難などを音声や文字で呼び掛ける。

 両県の自治体ごとの伝達手段は、①屋外スピーカーによる放送が32市町村と最も多く全体の4分の3に及んだ。繁華街や公園、港など141カ所に設ける広島市は「外にいる大勢の人に効率よく情報を届けられる」とする。

 ②戸別受信機や⑥IP告知端末を活用するのは計30市町。家にいる人に注意を喚起しやすい。戸数の少ない山間部や島しょ部では、設置率が100%近い町もあった。一方、人口の多い広島市は、自主防災組織の代表者宅などに限定して戸別受信機を設けている。

 ⑤登録制メールは、携帯電話の端末からアドレスを登録すると情報が届く。広島、福山、呉市など都市部での導入が目立つ。

 広島県危機管理課の西川貴則主査は「生活している地域で、どんな方法で情報を得られるかなど、分からないことや不安点があれば地元の自治体に気軽に問い合わせて」と呼び掛ける。

 Jアラートの情報は、大手の携帯電話会社を経由しスマートフォンなどに「緊急速報メール」や「エリアメール」の名称でも届く。対象機種の利用者は、受け取れるようあらかじめ設定しておくといい。

 では、緊急情報をより確実にキャッチし命を守るには―。日本大危機管理学部の福田充教授(48)は「ミサイル発射に対する避難は時間との闘い。複数の情報入手手段を確保しておくことが欠かせません」と強調する。防災行政無線などの情報伝達態勢が整っている市町村にいても、機械トラブルなどがあると必ず情報が届く保証がないからだ。

 福田教授によると、北朝鮮から発射されたミサイルが日本に着弾、落下するまでの時間はおおむね5~10分。発射からJアラートの緊急情報受信には少なくとも数分かかり、避難に残された時間は長くて4~5分程度だ。「できることは限られる。爆風や熱風、放射線、ミサイル片の直撃を避ける行動を急ぐことに尽きます」とする。

 被害を抑えるために最も効果的なのが、地下街やビルの地下への避難。近くにある最も頑丈そうな建物に逃げてもいい。屋内にいる場合、窓から離れるか、窓のない部屋に移る。ただ、地下空間や頑丈な建物がない所も多い。例えば、公園にいる時ならトイレや大きめの遊具の陰、農作業中であればトラクターの陰や用水路の溝などに身を置く。

 「避難への一連の流れをあらかじめイメージし、冷静で適切な行動につなげたい」と福田教授。Jアラートに関する情報が掲載された内閣官房の「国民保護ポータルサイト」で警報音や例文は確認しておくことも大切という。

≪Jアラートの流れ≫
 ミサイルが発射され、日本へ飛んでくる可能性がある場合、国は被害が出る恐れのある自治体にJアラートを通じて「ミサイルが発射された」と発信する。続いて、日本の領土・領海に落ちる恐れがあれば「屋内避難」などを呼び掛け、その後に「どこに落ちたか」も知らせる。日本で落下せずに飛び越えた場合は「上空を通過した」と届ける。情報を受けた自治体は、それぞれの防災行政無線などに転送する。

(2017年9月5日朝刊掲載)
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