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呉出身・永野元運輸相の講演録 「敗戦真相記」に改装版

 広島県呉市の旧下蒲刈町出身で政財界で活躍した「永野六兄弟」の長兄、元運輸相の故永野護氏が敗戦から1カ月後の1945年9月、広島で日本が戦争に敗れた理由や開戦の背景を語った講演録を収めた「敗戦真相記」の改装版が出版された。

 四六判、189ページ。護氏は「軍部が己を知らず敵を知らなかった」「日本有史以来の大人物の端境期だった」と語り、海軍と陸軍の縄張り争いも敗戦の要因に指摘した。

 講演に加筆した内容は同年12月、「敗戦真相記」として刊行された。57年後の2002年、出版社のバジリコ(東京)が2万部を復刻出版した。

 復刻出版から10周年のことし、護氏の孫でBSジャパン社長の永野健二氏(62)=東京都=が「東日本大震災や欧州の金融危機などで日本は転機にある。祖父の分析は今も新鮮に読まれる」と改装版の刊行を企画。バジリコが8月に2千部を出版し、今月初旬にはさらに2千部を増刷した。1050円。

 護氏は1890年生まれ。戦時中と戦後に衆院議員を2期務めた後、1956年に参院広島地方区で当選し、第2次岸信介内閣で運輸相。70年に死去した。日本商工会議所会頭を務めた故重雄氏をはじめ、兄弟6人がそろって政財界で活躍したことで知られる。

 バジリコTel03(5625)4420。(荒木紀貴)

(2012年9月27日朝刊掲載)

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