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東区の品川さん修復参加 故杉原千畝氏勤務のリトアニア旧日本領事館

「広島で育った自分の宿命」

 第2次世界大戦中にナチス・ドイツに迫害された多くのユダヤ人を救った外交官、故杉原千畝氏が勤務したリトアニアの旧日本領事館の修復作業に、広島市東区の塗装会社社長、品川真一さん(45)が参加した。「多くの人が訪れ、ここで起きたことを語り継いでほしい」と願う。(中川晃平)

 国内の塗装業者でつくるボランティア団体が派遣した35人の一員として9月4~7日に現地で、旧領事館の外壁約500平方メートルを修復した。

 建設から78年がたつ旧領事館は現在、杉原記念館として一般公開されているが、壁はひび割れたり、剝がれたりしていた。参加者は現地の業者とも協力して壁を塗り直した。作業を終えると涙を流しながら抱き合って喜んだという。

 品川さんが修復プロジェクトを知ったのは1年ほど前。世界文化遺産の原爆ドーム(中区)の存在が参加を後押しした。「ドームは何度も補強され、ヒロシマの歴史を発信し続けている。老朽化した旧領事館が取り壊されれば、杉原氏の功績も風化してしまう」。作業に加わるのは、広島で生まれ育った自分の宿命だと意気込んだ。

 バルト海沿岸のリトアニアは、ポーランドなどから逃れてきたユダヤ人に日本通過ビザを発給した杉原氏が知られているものの、その後、旧ソ連に併合されていたこともあり、日本との関係は深くない。品川さんは「今回の活動が、両国の交流を深めるきっかけになってほしい」と願う。

(2017年10月12日朝刊掲載)

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