社説・コラム

社説 米軍ヘリ炎上 基地のリスク どう軽減

 またしても米軍機の事故が沖縄県で起きた。おととい普天間飛行場(宜野湾市)所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが訓練中に上空で出火し、北部訓練場に近い民間の牧草地に不時着して炎上し、大破した。

 乗員7人や周辺住民にけがはなかったものの、現場は民家から約300メートルしか離れていなかった。一歩間違えば、民間人が巻き込まれていた。あらためて米軍基地が危険と隣り合わせであることを浮き彫りにした。

 米海軍安全センターは、事故の深刻さを示す四つの分類のうち最も重大な「クラスA」に当たると発表した。確かに、炎と黒煙を上げるヘリの様子や草地に横たわる機体の残骸の写真を見ると、衝撃が伝わってくる。

 最大級の輸送力があるCH53Eヘリは、2004年に沖縄国際大に墜落したヘリの後継機に当たる。安全確認のため、同型機の国内での使用を停止する考えを米軍が示した。当然だろう。まずは原因究明と対策を急ぐべきである。

 現場周辺では、複数のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)が建設されている。抗議活動が続く中、米軍機が飛び交い、事故が懸念されていた。

 沖縄では最近、米軍機が再三事故を起こしている。13年に沖縄本島東の海上にF15が墜落したのをはじめ、昨年12月には名護市沖にオスプレイが不時着し大破するなど、この4年間で今回を含めて6件発生している。

 目立つのはオスプレイの事故やトラブルだ。沖縄に限らず、各地で起きている。8月5日、オーストラリア沖で墜落し、3人が死亡する事故が発生した。8月28日には米海兵隊岩国基地(岩国市)で1機が白煙を上げ、29日には沖縄に向かう途中、大分空港に緊急着陸した。

 岩国基地には、CH53Eヘリは配備されていない。しかしオスプレイが飛来するため、今回の事故は決して「対岸の火事」ではない。

 気になるのは、放射性物質が機体の一部に使われているかもしれない点だ。事実であれば、きちんと調べて除染などが必要なら国として早急に対応してほしい。沖縄県が環境調査のため現地への立ち入りを求めたが、拒否されたという。まさか周辺の放射線量の測定も駄目だというのだろうか。

 安倍晋三首相は、事故の原因究明と再発防止は米側に任せるのではなく、防衛省と自衛隊の知見を最大限に活用するよう指示した。官房副長官が明らかにした。ただ、日米地位協定の壁がある中、どこまで本気で日本側の主体的な調査を米国に求めるつもりだろう。

 というのも米軍の同意がなければ、その「財産」の捜索や差し押さえをする権利はないとされる。原因究明に関与できない恐れがある。実際、昨年のオスプレイ不時着事故でも、日本側は事実上調査できなかった。

 地位協定はこのままでいいのか。沖縄に集中して押し付けている米軍基地のリスクをどうすれば軽減できるのか。衆院選の最中だけに、議論を深めるべきである。野党の多くは沖縄の負担軽減や地位協定見直しなどを公約に盛り込んでいる。しかし自民、公明の連立与党は地位協定見直しなどには及び腰だ。国民全体の問題として考えることが不可欠ではないか。

(2017年10月13日朝刊掲載)
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