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政府 核兵器禁止条約触れず 国連へ提出の廃絶決議案

 日本政府は12日、国連総会第1委員会に、核兵器廃絶決議案を提出した。日本の決議案提出は24年連続。核拡散防止条約(NPT)体制を通じた核軍縮を掲げるが、7月に採択された核兵器禁止条約には直接触れず、「核兵器のない世界の実現に向けたさまざまなアプローチに留意」という表現にとどまった。

 核兵器禁止条約に言及していないことが伝わり、広島の被爆者たちから怒りと失望の声が上がった。

 日本被団協の全国都道府県代表者会議で上京中の広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧智之副理事長(75)は「核保有国と非保有国の橋渡しになると言いながら、条約に反発する米国を気にして避けて通った」と憤る。

 禁止条約は非保有国が主導し、7月の国連の会議で122カ国・地域が賛成し採択された。「非保有国からみて、日本は核兵器廃絶を目指すと言いながら、どうしたいのか疑問を持たれかねない」。13日に日本被団協の要請行動で外務省の担当者に会い、決議案の意図を直接ただすつもりだ。

 国際非政府組織(NGO)の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞受賞が決まり、被爆者や日本のNGOが運動の追い風にしようと意気込んだ直後でもある。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(72)は「国際社会の思いと日本政府の考えとのギャップの大きさを感じる」。政府の署名、批准を迫るため与野党の国会議員への働き掛けを強めたい考えでいる。

(2017年10月13日朝刊掲載)

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