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岩国市魚礁整備 2767万円分は不当 米軍再編交付金を活用

 岩国市が魚礁整備事業のため2013、14年度に受け取った米軍再編交付金のうち2767万円について、会計検査院から目的を達成しておらず不当と指摘されたことが8日、分かった。また、山口県が14、15年度に周南市小松原の島田川で実施した護岸復旧工事で国の技術基準を満たしていない部分を指摘され、同県は追加工事をしている。

 魚礁整備事業は、米海兵隊岩国基地(岩国市)の滑走路沖合移設に伴う藻場の減少などを受け、市が12年度に開始。13、14年度は交付金4500万円を活用し、基地東側の海域に計64基の魚礁を設置した。しかし設計や施工方法が不適切だったため、全64基の一部が海底に埋まったという。

 市は15年度以降、埋没原因や事業効果の検証を続けている。水産港湾課は「不当と指摘されたことを重く受け止め、適切な事業完了を目指す」と釈明。返金するかも含め、防衛省側と対応を協議するという。

 山口県が実施した護岸復旧工事では、護岸の根固めをするため、コンクリートブロック(幅0・9メートル)を41メートルにわたって並べる際、3列にする設計で国土交通省の災害査定を受けた。しかし、実際の工事では幅約1・4メートルのブロックを2列並べたため、沈下も考慮して必要とされる幅が基準に達していなかったという。

 検査院は、同省の補助金1533万円(補助率3分の2)を「不当な支出」と認定。同県によると、18年2月末までに約300万円で追加工事を終えるため、同省は返還を求めないという。県河川課は「基準への理解が足りず、申し訳ない」としている。(佐藤正明、松本恭治)

(2017年11月9日朝刊掲載)

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