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[変わる岩国基地] 財政 交付金依存さらに 艦載機移転で山口県など国に要望

 米海兵隊岩国基地(岩国市)へステルス戦闘機F35Bが追加配備された9日、山口県や岩国市は、県向けの交付金拡充などを国へあらためて求めた。県側は「極東最大級基地」となる空母艦載機の移転完了後を見据え、さらなる増額やソフト事業への使い道の拡大を要望。国側も応じる構えで、財政的な基地依存度は高まりそうだ。(和多正憲、武内宏介)

 「負担を抱え続けることになる。目に見える形で応えてほしい」。この日、村岡嗣政知事が岩国市の福田良彦市長たちと防衛省を訪ね、県交付金拡充などの要望書を小野寺五典防衛相に手渡した。小野寺防衛相も「拡充措置にしっかり対応する」と「前向き」の返答を繰り返した。

 2015年度に創設された県交付金は、米軍再編で航空機40機を超えるなどする防衛施設があり、住民への影響が大きい都道府県が対象。全国で唯一、山口県が要件を満たす。15~17年度に総額58億6200万円が支給され、政府は16年度までだった期間の3年延長も決めている。

 県はこれまでに岩国市と周防大島、和木両町での道路改良や河川改修、県立の文化施設整備などに充当。県立の武道館整備への活用も想定する。ただ、使い道はハード事業に限られるため、中小企業育成支援▽日米交流促進への語学教育支援―などソフト事業への対象拡大も求めている。

 さらに県交付金の対象地域の1市2町は、市町向けの再編交付金も支給されている。国は、交付金の延長方針も示しており、地元での「基地関連マネー」の存在感は増す。岩国市の17年度当初予算での基地関連の補助金・交付金は過去最高額となり、一般会計全体の15・4%を占める。

 F35Bの追加配備と重なったこの日の政府要望。村岡知事は防衛省での面会後、県交付金拡充について「国の予算編成段階なので、年末にならないと具体的には出ないと思う」と説明。一方、政府が「11月ごろ」とする艦載機の第2陣の移転時期は「今日は特にその話はなかった」とした。

(2017年11月10日朝刊掲載)

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