×

ニュース

核廃絶訴え最優秀賞 文部科学大臣杯全国青年弁論大会 山口大・浦田さん 県内学生で初

 山口大教育学部2年の浦田詩織さん(19)=山口市=が、11月に水戸市であった第62回文部科学大臣杯全国青年弁論大会で最優秀賞に輝いた。被爆地のある長崎県で生まれ育ち、教諭を目指す浦田さん。核兵器廃絶を願う気持ちを素直に訴えた点が評価された。主催する日本弁論連盟によると、山口県内の大学生の最高賞は初めて。

 浦田さんのテーマは「平和への祈りをカタチに~長崎の平和教育をひきつぐ」。主張の冒頭、7月に採択された核兵器禁止条約に日本が加わらない姿勢を「世界唯一の被爆国日本が先頭に立たずにどうやって核兵器廃絶をしていくというのでしょう」と問うた。

 山口大生205人に自らアンケートした結果も盛り込んだ。質問は、広島、長崎の原爆投下日時。正解者は両県出身者以外では1割に満たないなど地域や世代の濃淡も伝えた。

 10日にノーベル平和賞の授賞式に臨む国際非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))。草の根の活動が実を結んだ歩みが自らの信念と重なった。「一人一人が自分にできる行動を起こしていきましょう。行動する人が増えれば、それは大きな歩みとなるはず。決して核廃絶を夢物語にしてはならない」と強調した。

 浦田さんは佐世保西高1年の頃、担任の勧めで弁論大会に出場するように。新聞を読み問題に感じたことをテーマにする。「競技のような弁論が楽しい」。この大会も3位だった高校2年、優良賞の大学1年に続く3回目の挑戦で念願の栄冠をつかんだ。

 「長崎県出身者として、原爆の恐ろしさ、悲惨さを伝えるのが使命」と話す浦田さん。今回の出場も核廃絶への自身の行動の一歩とし、「このテーマで最優秀賞を取れたのが何よりうれしい」。将来は故郷で教え子たちに伝えていくつもりだ。(川村奈菜)

(2017年12月8日朝刊掲載)

年別アーカイブ