社説・コラム

民間交流 より盛んに 平和への願い 共有を 駐広島韓国総領事に就任 金氏に聞く

 駐広島韓国総領事館(広島市南区)の新しい総領事に就任した金宣杓(キム・ソンピョ)氏(52)が、中国新聞のインタビューに応じた。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が従軍慰安婦問題の解決を確認した日韓合意について日本の謝罪が必要との認識を示したのを受け、日韓関係の冷え込みが懸念される中、民間交流に影響が出ないよう尽くす考えを示した。(栾暁雨)

  ―慰安婦問題の最終解決をうたう2015年12月の日韓合意を巡り、日韓関係にきしみが生じています。
 今回の韓国政府の対応は日韓間の問題というより、韓国国内の問題だ。被害者との意思疎通が不足していたという点で、朴槿恵(パク・クネ)前政権の政策決定が問題視されている。

 ただ、今回の対応で民間交流に影響が生じてはならない。紆余曲折(うよきょくせつ)はあったが、朝鮮通信使をはじめ、1990年代末に韓国で日本文化が解禁され、2000年代には日本で韓流ブームが起こるなど、両国には長い友好協力の歴史がある。政治と民間交流は切り離して考えるべきだ。

  ―自身の役割をどう考えていますか。
 人的、経済的な民間交流をより盛んにするのが最も重要だ。若者の海外進出が活発な韓国では近年、日本での就職を希望する人が増えている。日本側も少子化や景気拡大に伴う人手不足を補える。製造業が盛んな広島は企業も多く、韓国の若者の定住を支援したい。

 広島空港(三原市)とソウル市郊外の仁川国際空港を結ぶ定期路線や、下関市と釜山市を結ぶフェリーなど、総領事館が管轄する中四国の5県には韓国との交通網がある。日本への韓国人観光客は増えているので、多くの日本人に韓国を訪れてもらえるよう広報活動を強めたい。

  ―2月9日には平昌五輪が開幕します。
 アジアでは98年の長野大会以来となる冬季五輪だ。スノーボード女子パラレル大回転でメダル獲得が有力視される竹内智香選手は、広島ガス(広島市南区)の所属。中国地方から、ぜひ多くの人に応援に来てほしい。私自身もスポーツが好きで、テニス歴は26年を数える。世界的に有名な錦織圭選手が松江市出身と知り、中国地方を一層身近に感じている。

  ―北朝鮮の核問題が緊迫化しています。
 広島はどこよりも、核の恐怖と核戦争の危険性を知っている。文大統領が重視する平和的解決による北東アジアの非核化と平和構築に、理解と共感を示してくれるはずだ。このタイミングで被爆地に赴任した意義は大きい。核廃絶や恒久平和への願いを共有したい。

金宣杓氏
 1965年、韓国・ソウル市出身。高麗大卒。91年から外務部職員となり、海外赴任は英国、中国、オランダ、アラブ首長国連邦(UAE)に続き5カ国目となる。日韓新漁業協定の締結交渉や、北朝鮮核問題を巡る6カ国協議にも携わった。スポーツ好きでテコンドーは黒帯の実力。妻と大学1年の長女、中学3年の次女はソウル市で暮らす。

(2018年1月12日朝刊掲載)
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