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被爆樹木保全 先輩から継承 回復へ処置学ぶ 広島市職員2人

 広島市内に161本が残る被爆樹木の保全へ、「樹木医」の資格を持つ市職員2人が、経験を積んでいる。9日は、先輩樹木医、堀口力さん(72)=西区=に同行。知識の継承へ、樹勢回復への適切な処置方法を学んだ。

 2人は安芸区農林課の山腰憲一課長と富沢まり主任技師。山腰課長は3年前、富沢主任技師は16年前、一般財団法人日本緑化センター(東京)認定の樹木医の資格を独自に取得した。被爆樹木を担当する市平和推進課の依頼で2016年度から堀口さんの調査に学んでいる。

 9日は、市が堀口さんに委託した6本の経過観察をした。光明院(中区)に植わる夏ミカンは、増加した枯れ枝の切除や害虫駆除、土壌改良の必要性を確認した。

 「木の自然の治癒力で蘇生させる考え方が勉強になる」と富沢主任技師。山腰課長は「被爆の生きた証人の保全に微力でも力になれれば」。堀口さんは「行政で専門家が育つのは心強い」と話す。

 全被爆樹木について市が堀口さんに委託した16年度の調査では、66本が生育状態に何らかの問題があると診断。市は18年度以降も経過観察を続け、結果を所有者に伝えて樹勢回復処置を促す。市平和推進課は「被爆樹木に深い知識を持つ人が少ない中、今後も知識の継承を進め、保全に生かしたい」としている。(水川恭輔)

(2018年2月10日朝刊掲載)

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