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「消えた町」画集 7年ぶり復刊へ 映画「この世界」 広島描写で参考 

 広島市の市民団体、ヒロシマ・フィールドワーク実行委員会は4月、原爆で壊滅した広島の街並みの鉛筆画集「消えた町 記憶をたどり」を7年ぶりに復刊する。アニメ映画「この世界の片隅に」で旧中島地区(現平和記念公園、中区)の街を描く参考にされ、映画ファンから復刊要望が相次いだため。予約を受け付けている。

 鉛筆画は現在の中区大手町で育った森冨茂雄さん(88)=西区=が記憶を基に制作した43枚。県産業奨励館(現原爆ドーム)や大正屋呉服店(現レストハウス)の付近、本通り商店街などを店の看板や街灯まで緻密に描いている。

 2011年に500部を作成。実行委によると、同年に「この世界の片隅に」の片渕須直監督から注文があり、作画の際の参考資料の一つにもなった。その後に絶版となったが、実行委が先月、希望があれば復刊したい考えをツイッターに投稿。映画ファンを中心に80人以上から購入希望があった。

 「ハーモニカを吹いて遊んだ」「(爆心地となった)島病院は猿小屋があった」…。画集には関連する証言も載せられている。実行委の中川幹朗代表(59)は「絵とともに証言も詳しい。今の平和記念公園の一帯にあった暮らしを知ってほしい」と話す。A4判88ページ。1600円。実行委☎082(255)1923。(水川恭輔)

(2018年2月23日朝刊掲載)

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