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呉海軍工廠 歩み一冊に 広島国際大・千田客員教授が出版

 広島国際大客員教授の千田武志さん(71)=呉市弥生町=が、1903(明治36)年に設立された呉海軍工廠(こうしょう)の成り立ちや歩みをまとめた「呉海軍工廠の形成」を出版した。

 呉海軍工廠に関するこれまでの研究は、造船史、財政史などの視点が多かったが、千田さんは、防衛省防衛研究所(東京)や国会図書館(同)などで資料を集め、広く事実を掘り起こすことを念頭に置いたという。

 2015年には呉市の入船山記念館で「呉鎮守府設立費予算明細書」を発見。これを基に呉鎮守府設立が3段階に分かれた計画だったことが判明したという。別の資料で、年次の予算執行状況から計画が曲折を経て実現したことなども確認できたという。

 また、呉海軍工廠の前身の呉海軍造兵廠の組織、人事、施設・設備の整備、兵器の生産の実態なども分析。戦艦大和に代表される日本海軍艦艇の建造の中心地に呉が育った過程を考察した。

 千田さんは1978年から「呉市史」編集に携わりながら海軍資料収集を続けている。「本は呉海軍工廠について研究する際の基本資料として使ってほしい」と話している。836ページ。1万800円。錦正社。(今井裕希)

(2018年3月9日朝刊掲載)

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