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社説・コラム

『潮流』 金融機関 一つの選び方

■論説副主幹 宮崎智三

 金融機関に預けた自分のお金がどこに流れるのか、関心を持っている人はそう多くはあるまい。昨年秋までは、その一人だった。

 目を開かされたのは、地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)理事で、中央大大学院教授の目加田説子さんの言葉だった。

 「自分のお金がどう使われているかに関心を持ってほしい。私は預金先を、兵器メーカーに投資していないところに変えました」

 クラスター(集束)弾や対人地雷、核兵器といった非人道的な兵器をなくすため私たち市民に何ができるか―。そう質問した時、そんな答えが返ってきた。

 地雷などの被害者を見てかわいそうだと思うだけで終わらせず、自分たちが加担していないか問う必要がある、というわけだ。

 個人でどうやって調べるか。海外のNGOが調べた結果はJCBLのウェブサイトなどに載っている。

 効果はあるのか。クラスター弾であれば、全国銀行協会はおととい、使途にかかわらず製造企業への融資禁止を申し合わせた。クラスター弾製造につながる融資だけを禁じた2010年の申し合わせを強化した。

 一方、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のクラスター弾製造会社の株を保有していたことが昨年分かった。国内での製造や所持は法律で禁じられているのに、外国の製造企業の株式保有は禁止されていないらしい。政府の説明だが、ふに落ちない。

 気になる核兵器の調査結果が先日公表された。国内の7金融機関が14年1月~17年10月、核軍備の維持や近代化に加担する欧米の企業などに資金を提供していた。総額で2兆円に迫るという。既に取引をやめたところもあるが、当然だろう。

 「わたしのお金、わたしの責任」。目加田さんの言葉通り、投融資先にもしっかり目を向けた上で、どこに預けるか見極めねば。

(2018年3月17日朝刊掲載)

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