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[イワクニ 地域と米軍基地] 周防大島 騒音苦情最多 17年度 柳井も高止まり

 山口県周防大島町と柳井市はそれぞれ、米軍岩国基地(岩国市)に絡む2017年度の騒音の苦情件数をまとめた。同町は過去最多の54件、柳井市も過去最多だった前年度並みの93件。基地周辺の自治体でも住民から多くの苦情が寄せられ、騒音測定器の数値も悪化した。厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機の移転の影響とみられる。

 岩国基地から南に約20キロ離れた同町の苦情件数は、統計を取り始めた08年度以降最多で、前年度(8件)の約6・8倍と急増した。岩国市や町、県が艦載機の移転容認を表明した6月以降に集中し、町総務課は「容認表明が大きく報道され、住民の関心が高まった」と分析。月別では、移転第1陣のE2D早期警戒機5機が到着した8月の10件が最も多かった。

 岩国市に隣接する柳井市では、過去最多だった前年度(101件)と「ほぼ同水準」(市危機管理室)。FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機など3部隊が配備された12月以降に集中した。月別では18年1月が最多の20件。地域別では市中心部の柳井地区が48件と最も多かった。上空で編隊飛行が目撃され、「窓や戸が震える」「テレビの音が聞こえない」などの苦情が寄せられた。

 国は同町に5基、同市に1基の騒音測定器を設けている。70デシベル以上が5秒以上続いた回数をみると、同町では東三蒲の測定地点が最多の2172件、航空機騒音の指標「うるささ指数(W値)」は66・9。同市神代の回数は1336回、W値59・9だった。両地点とも通年の測定を始めて以降、最大値だった。

 市が独自に設置している2基の測定器でも、日積公民館で95・0デシベル(17年7月)、「グループホームあそか」で89・1デシベル(18年3月)と過去最大の騒音を記録した。70デシベルは騒々しい事務所の中、90デシベルは騒々しい工場の中にそれぞれ相当する。

 町総務課は「艦載機移転前後の騒音状況の変化を注視していく」。市危機管理室は「引き続き状況の把握に努め、国に測定器の増設を求めたい」としている。(余村泰樹、堀晋也)

うるささ指数(W値)
 航空機騒音の評価指標の一つ。騒音が続く時間や回数、時間帯などを考慮して算出し、数値が大きいほど騒音がひどいことを表す。国は環境基準で、住宅専用地域ではW値70以下と定める。W値70は、地下鉄の車内の音(80デシベル)が昼間で1日50回あった時のうるささに相当する。

(2018年4月29日朝刊掲載)

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