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[イワクニ 地域と米軍基地] 北広島で艦載機訓練か 西中国山地で飛行初確認

 西中国山地の米軍の訓練空域「エリア567」内にある広島県北広島町の上空で8日、米軍岩国基地(岩国市)に所属する海軍の空母艦載機が訓練とみられる飛行を繰り返しているのを中国新聞のカメラマンが撮影した。3月末に岩国への移転を完了した艦載機を西中国山地で確認したのは初めて。一帯では同基地の海兵隊機などによる騒音被害が相次いでいるが、今後、艦載機の訓練も本格化する可能性がある。

 撮影したのは同町の掛頭山(かけずやま)山頂付近。午前11時前、FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機2機が急上昇や旋回を繰り返した。午後1時前にも1機を確認した。いずれも約30分間、山頂付近を行き来した。

 艦載機約60機は、昨年8月上旬から今年3月末にかけて厚木基地(神奈川県)から段階的に移転した。基地監視団体「リムピース」共同代表の田村順玄・岩国市議によると、移転前の艦載機は厚木基地から北に約120キロの群馬県上空で低空飛行訓練を繰り返していた。田村市議は「群馬では地上の建物や道を標的に『対地攻撃』の訓練をしていたという。岩国でも同様の訓練を本格的に始めたのではないか」とみる。

 艦載機は3日から東京・硫黄島で陸上空母離着陸訓練(FCLP)をしている。今回、岩国に残っている機体がエリア567で訓練した可能性もある。中国新聞は在日米海軍司令部(神奈川県横須賀市)に北広島町上空での飛行目的などを問い合わせたが、8日午後9時時点で回答はなかった。

 同町危機管理課は「引き続き飛行状況を注視し、必要があれば近隣市町と連携して対応する」としている。

 艦載機の訓練空域を巡っては、国は2016年11月、移転に伴い山陰沖と四国沖の2カ所に新たに設けた。(久保田剛、明知隼二)

(2018年5月9日朝刊掲載)

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